十二支 十二支の説明
中国の古代国家「夏」の時代にうまれた と考えられている−二支は、当時として は古代人の自然科学であり処世法や人間の生き方を教えてくれる道徳学でもあった のです。その頃「冬至」の夕方に空を見上げたら、北斗七星が地平線から姿を現し て、まさに天空に上ろうとしてる星座を見る事が出来たでしょう。そのありさまを 象形にした文字なのです。また一説には、植物が地中で滋養をとり、成長している 姿を象形にしたものとありますし、別の学者は頭部が大きく、手足のなおやかな乳 児の形に象った・・ とあります。子の意味と音符を含む形声文字に字があります 。

地中の草木の種か、一生懸命に若芽を出そうとしても、地上は酷寒、その寒さのた めに若芽も縛られているありさまを象形にした(子に滋萌し、丑に紐芽す)・・とあり ますが、甲骨文字や金文の初形なとを見ますと、手指に堅く力を入れてひねる形に かたどられた象形文字で、丑という字を音符に含む形声文字に、紐・紐などがあり ますか、これらの漢字には、ばらばらになっているものをーっに纏めるとか万物が 固定された状態にあってとりこみ、少しひねって抑えることを意味しています 。 (紐芽とは曲がった腕や芽が曲がりつつ伸びるのを待っているありさまのこと)
甲骨文では人が矢を両手にもって捧げている形だといっています。古代人は重要な
約束ごとは矢を両手に挿んで誓ったことに由来していますが、寅という字には同寅
(同僚)・寅誼(同僚のよしみ)・寅清(同士相たすけて、曲事・公害を清める)なとという意
味があり、寅という字の意味とを音符とを含む形声文字に演と云う字があります。
演の字には「のびる」という意味がありますか、地中の植物が春の到来を感じ取っ
て堅い殻をやぶり、地表の土を押し退けて伸びようとしている姿を表しているのだ
と説いている学者もいます。

天宮にある冬の門か左右に開いて万物が外に飛び出し、繁茂するすがたを表してい
る象形文字です。「説文」にも「天地の運行四季の循環による万物成長の順序から
子丑寅と伸びてきた植物がここにきて覆いかぶさるように繁茂してきたこと」を表
しているとありますか、別の学者は春陽を祈念するときに神に捧げる生賢の羊や牛
の耳の形と説〈ひともいますが、他にも卯は茆(茅・すすき、の茂み)を表し、これが
はびこると根かからみあってどうにもならなくなることを意味している と説いて
います。(卯という字は左右が対称となっていて陽気が衝動している形です)

辰という字は、蜃((ん)というはまくり貝の原字で、二枚貝か殻から足を出して動い
ているさまを象どった象形文字で、ひいては春の陽気に誘われて万物が振動し、植
物も形が整って活力が旺盛になった状態をさしてるのです。辰という字を音符に含
む形声文字に、唇・宸・蜃・震・振・娠・晨・脣なとがありますが、これらの漢字
は「ふるえる」の意味を共有しています。
また辰は大火(アンタレス〉の別名で、この季節日没なるとこの星が真南に見えるところ
から子午線をさがす目印の星とされていました。

説文によりますと巳と云う字は蛇を象どった象形文字で、この季節になると冬眠し
ていた蛇が地表に這い出してきて活発に活動している姿を表しているのだと説いて
いますが、なにも蛇だけにかぎっているわけではな〈、春になって陽気を迎えます
と、啓蟄(けいちつ)といって地中に冬眠していた動物が地表に出て来ますし、蛙の卵なども
卿ってオタマシャクシになって活発にうごきはしめますし、タケノコなどの植物も
地上に姿を現してきます。季節を知るうえでは蛇が人の目には一番分かりやすい動
物だったからからてす。


天空の目印としては具上を天極としていますか、この位置に太陽が差しかかると、
その日いちにちの前半が終わり、後半がはじまる位置としうて午をあてました。
午という漢字には陽と陰の気が交互に交差するという意味も含まれているのです。
(午前午後)。象形・金文の文字を見ますと、二人の人かかわるがわる杵で臼の中の穀
物を搗いている姿が文字になっている事か良く分りますが、午と云う字の音には杵
で穀物を搗く音である許(こ)と関係があり、許・汗・迂という漢字があります。
この季節になると植物は最盛期をすきてそろそろ衰えをみせはじめます。(陰陽の交差)

 

説文にも「木の重なる枝葉に象る」ありますように、未という漢字は木という字
と、その上に短い−が乗っている字で構成されていますか、木の枝葉が繁茂してい
る形の象形文字から生れた字なのです。未という字を音符に含む形声文字には、
味・妹・昧・魅などがありますか、これらの漢字には「まだ小さい」 「かすかな」
「事物がはっきり形をとりきらない」などの意味を共有しています。
この季節、稲や麦・黍・トウモロコシなどに穂が出てきて、滋味かつきはしめたこ
とを表わしていますが、手間をもいたり手入れを怠ると成長がとまります。
申という字は|と日の字からなりたっていますが、象形、甲骨文で見ますと、人の
背骨と左右の「あばら骨(肋骨)」て出来ていることか良く分ります。それでこの字に
は身という字にも関わりかあって申を「しん」と読ませるように身体〈胴体〉を曲げな
いで、まっすぐに伸ばすという意味にもなるのです。この季節になると穀物や果物
なとの実かたわわに稔るころであり、穀物なとは収穫をしてその出来高を素直にお
かみ(役所)に届けますが、今でも税金の申告という言葉を使っていますけれど、その
語源のおこりはこのあたりにあるのです。伸・神・呻・紳、 具申・追伸・答申 があります。


酉という字は象形、甲骨文でみて一目で分りますように五穀を収納する甕(かめ)壷から出
来た字です。余った穀物に水()を加えて醸しだしおいしいお酒をつくりますが、甕(かめ)壷の
中の穀物が麹で醗酵し、熟成する姿にたとえて万物が熟し実る、或る、老い る、革新する
(穀物からお酒ができるように→新しい形が生まれる〉という意味の言葉が生れました。
西の意味と音符を含む形成文字に酒・酊・酋・酌・配・酔・醋(酢)・酵・醐・醜等があります。
戌は大(ほこ〉・鉾(ほこ)・M(まさかり)の象形文字て、もともとは茂るという字で真ん
中に陽気を表す「一」かあって、収樵された穀物や野の花などを内威する明るい意
味の文字でした。ところか万物が生長し枝葉か茂って日当たりか悪くなったり、風
通しが悪くなったのを剪定し、切り払って樹木の生気を取り戻すという意味に用い
るようになりました。(戌削)戊には「削る」 「裁つ」の意味もあり、一説には厳寒の
冬に備えて薪木を用患するときには鎌か二挺ても欲しい・・願いからか象形文字には
鍼が二挺組み合わされた形て構成されています。
亥という渓字は、總形・甲骨文字でも分る様に承(いのこ)と云う象形文字を借りて構
成されています。亥を音符に含む形成文字に核・劾・咳・該・核・骸・駭(かい)なとかあ
りますか、何れも「かたい」という意味を共有しています。また亥には「根ざす」
「兆す」という意味もありますように、植物は陰極まって枯れはてましたか、種や
根を地中に残して微陽を保ち、来るべき番を待つ姿が象形文手にも伺われます。
しかし説文には亥の「亠(なべぶら)」は家を表し、そのなかに夫婦か子供を抱いて仲
睦ましく春を待つ聳と説いています。