十干   十干の語源と意義

木性の陽一樹木にあてはめますー「直」 ●方位は東、季節では春、色は青

甲は陽の木性であり、大自然界に存在する事物にあてはめれば樹木になります。
そこで樹木が、形の上であらわしている姿をそのまま「甲木性』の意味合いに用い
たのです。樹木は上に向かって伸びるというのがその形であって、大地に根を張り
空中において枝葉を広げている樹木の形から、真っ直ぐに伸びるという状態をとら
え『直1という意味を付したのです。
【字義・語源】尾をひいた亀の甲羅を象った象形文字。甲を音符に含む形声文字に
匣・岬・岬・押・胛・押・鴨などがありますが、これらの漠字は、多く「亀の甲羅
のような堅いもので覆う』の意味を共有しています。甲の字は、甲宵(かフちう).鎧
(よろい)または鎧を着た兵士を意味していますし、ものごとの第一番目とか、優れて
いるという意味にも用いられています。

木性の陰一草木にあてはめますー「曲」●方位は東、季節では春、色は青
甲木性に対して、 「乙木性」は陰の木と云う事になるわけで、これをr草木』にあ てはめたわけです。草木は同じ木星ではありますが、樹木と異なって風に揺らぎ、 直的伸び方をするなかにも柔軟性があり、人に踏まれてもまた伸び栄えようとしま す。草木の中には「つた」や『かずら」のように、樹木に真気ついて」伸びるもの もあります。そこで諸々の草木の共通点として、草木は『曲」なる形態を所有して いるとまとめたわけであります。そのために「乙木性」は「曲」なりと定めました 【字義・語源】骨でつくられたヘラ、糸をつむいだり、機を織るときなどに糸の乱 れを解きほぐす道具。形声文字に吃・詑・糺・糺・乱などがありますが、これらの 漢字は、「ジグザグする」の意味を共有していて、物事がスムーズに進まないさま を表しています。

 

火性の陽ー太陽を象徴としましたー「明暖」●方位は南、季節では夏、色は赤
丙は陽の火ですが、古くから慣例的に太陽の象徴として取り扱われています。 太陽を『明暖』とし、太陰(月・星)を冷明として分類することは、昼夜の分として 考えた方がよろしいでしょう。昼間の明るさ、暖かさを総まとめにして『丙』であ らわしているわけです。地法では天上の火と考えているのです。 【字義・語源】この字を古い甲骨文や象形文字などでみますと、神に生賢を捧げる 足の張り出た祭壇の台の形を表しています。この丙の宇を音符に含む形声文字には 悄・柄・・・病などがありますが、これらの漢字は「張り出し広がる」の意味 を共有しています。

 

火性の陰一灯火にあてはめます−「弧明」 (月・星も含みます)●方位は南、色は赤
これは天上の火に対して地上の火ということになり、丙と同じように明であり暖で すが、地上におけるものであるために人為的なものの場合が多く、小さい範囲での 暖であり明であるわけで、そのために「弧明」とするわけですが、弧曖でもあると いえます。季節では丙とおなじく夏に配しています。 【字義・語源】この字を甲骨文や金文などで見ますと、釘の頭を上から見た形にみ たてていますし、茶文は横から見た形で象っています。この丙の字を音符に含む形 声文字に、灯・釘・頂・町・汀・訂、などがありますが、これらの漠字にはすべて 「安定する・整った」の意味を共有しています。また丁には二十歳以上の男子、壮 年の男子、働き盛りの男という意味もあります。 (女子と未成年の男子を口といいます)

土性の陽 一山岳とみたてますー「不動」(大地そのものを代表します)●方位中央、黄
土性の陰陽分類は、人が住んでいるかどうかということで区分しており、人間が集 まる土地を「己土」て表し、人間か立ち入らないところを「戊土」で表すのが干支 解釈の慣例です。そこに山岳の意味かあり、形は『不動』で表したのです。季節で は春夏秋冬それぞれの季節の移り変わる中間をさします。 【字義・語源】この字を甲骨文や象形文字なとで見ますと、大きな斧の象形で篆(てん)文 で見ますと鍼(まさかり)に似た武器をもった人になっていますか戈(ほこ)の字の古 字です。「ほこ」という武器には先の尖った矛(ぼう ほこ)がありますが、それとは 異なり戈は斧のような刃をもった弓なりに曲がった武器なのです。その根元の穴か 柄にかぶさるので冒(ほう)と云います。漢の古文書「釈名(せきめい)』に「戊は茂 なり、ものみな茂盛するなり」と説いていますが、そこから物事か繁栄し、複雑化 するにしたがってムダを省き、簡略化することにつとめることを意味しています。
土性の陰一田園にあてはめますー「広平」●方位は中央、色は黄
広平という意味が生れているのは、山岳に対して平野・平地という意味であり同時に人間が住 するところという意味を含んでいるのであります。そのために人間交流の場所と解しても良い わけですが、人間が生活しているところを「己」で表したわけなのです。季節は春夏秋冬のそ れぞれの季節の移り変わる中間をさします。 【字義・語扉】己の字はキ コ・オノレ・ツチノト、と読ませていますか、人が膝まづく形に 似た三本の横の平行線を、その両端に糸を巻き、中の横線を支点とする糸巻器とする説と、曲 がりくねった糸の端緒・糸口だとする説。もう一つ説は伸びた新芽の曲がりくねった形たとす る三つの説があります。この己の字を音符に含む形声文字に、忌・紀・記・起跂、などか ありますが、これらの漢字にはすべて「糸すじを整える」の意味を共有しています 【参考】己已巳はそれぞれ別字です。古い歌に『キ・コの声、オノレ・ツチノト下につき、 イ・スデニ中ば、シ・シミみなつく」また、別の歌に『ミは上に、オノレ・ツチノト、下につ き、スデニ・ヤム・ノミ中ごろにつく』なとがあります。

金i生の陽−鋼とみたてます−「鋭剛J(武器を総称しています)●方位西、色は白
これは金属そのものを表レたものですが、単に金属というたけではなく,石や岩も 含んでいるのです。それらの形にはいろいろなものかあるわけですが、総称して金 属の質というものは「剛」てあり、かつ「鋭」として表しているに過きません。 季節としては秋に配します。 【字義・語源】庚の字源は象形・甲骨文なとでも分りますように、杵を両手て持ち 上げる形にした象形文字です。この庚の字を音符に含む形声文字に、康・糠(ぬか)・慷(こう)・ 利、などかありますか、これらの漢字にはすへて「更新する・かわる(更る)・あら たまる(物更)・変化してすこやかjの意味を共有レでいます。

金性の陰一宝石とみたてますー「柔鋭」●方位は西、季節は秋、色は白
庚と同じ金の質ですが、この中には美という意味が多く含まれており、宝石などを想定しての 意味づけがあります。そのために『柔鋭』でもある反面、柔剛でもあるわけです。表現をかえ れば「美なる剛」であるともいえるわけです。季節としては秋に配します。 【字義・語源】象形・甲骨文で分りますように入れ墨をするときの緘針の象形です転じて鋭 )刃物でぴりっと刺すことを示しています。そこから、つらい・からい(舌を刺すからさ)な どの意味がうまれ、そのような味のする野菜や、その実からとれた辛味香料にその名がありま す。五味の「からさ」と「にがさ」で『辛苦」があり転じてrつらい苦しさ」という意味にも 使われています。この辛の字には「からい」のほかに「つらい・たえがたい・いたましい・む ごい」の意味もあります。さらには、史記の「律書」には『辛は万物の辛(新)生を日(い)う」 ともあります。つまりは、 「辛」は「新」にも通じるというのです。草木が枯死して新しくな ろうとする状態をあらわしているというのです。

水性の陽一海・湖・大河にみたてましたー「流動」●方位は北、色は黒
この意味合いは海や湖の形から来ているもので、海などが交通機関の役目を果たし ていたわけです。同時に海流などのように、遠くへ動くというところから『流動』 という意味づけがあります。季節としては冬に配しています。 【字義・語源】象形・甲骨文・金文・篭文などどれをとってみても分りますように 機織りのときに使う経糸(よこいと)を巻き付ける軸,あるいは糸巻の象形です。 この壬の字を音符に含む形声文字に、任・妊・紅・社、などがありますが、これ らの漢字にはすべて織物を織るときに持続的に提供される素材としての機糸の意味 から、持続的に「耐える」の意味を共有しています.

水性の陰一雨・露・雪・霜とみたてます−「暗流」●方位は北、色は黒
癸水は陰の水性ですが、自然の形の中では雨霧・雪などにあてはめられた象形でもあったので す。そこに『明」ではなく「暗」という状態を強く意識したのでしよう、そのために海と異な り『暗く流れる』象としたのです。四季では冬に配しています。 【字義・語源】象形・甲骨文で見てみますと分りますように、三つ股の刃物が四方にはり出し たかたちの武器なのです。この武器はどちらにも突けるし、ぐるぐる回して敵の武器を払い除 けるにも有効に使えるのです。このぐるぐる回すといういみから転じて十干が一巡してもとに 戻ろうとする十干の最後の字にあてたとも云われていますが、後漢の「説文解字」によります と「水、四方より地中に流入する形」とあり、また1人の足に象(かたど)る」ともあります。 癸は季節では冬に配されていて冬枯れの季節です。草木は枯れ、木の葉も落ちて、見渡す限り 遮るもののない景色の中に、それまで隠れて見えなかった水路がはっきり現われてきた、その ような景色と光景を表しているのだ というのです。見通しが良くてモノを測るのに便利であ るところから『物事をはかる」という意味があり、転じては基隼・法則・筋道、なとと云うk 味にも用いられています。癸を音符に含む形声文字に揆・葵なとがあります。